〜セレブな世界に疲れたウサギ令嬢のショートストーリー〜

今年はじめの冷たい雨の日だった。
昨晩から降り始めた雨はときどきみぞれが混じりながら、ウサギ令嬢が目覚めたお昼過ぎにもまだ降り続いていた。
洞窟にいるような夢からウサギ令嬢が現実の世界に戻ってきたとき、彼女はネイルサロンで爪の手入れをしてもらっていた。ウサギ令嬢は新年の親戚周りで少し疲れていた。特に今年は半年後に結婚式を控えていて、例年以上に気を使っていたのだ。
ネイリストはウサギ令嬢に「おめざめですか?」の挨拶をした後、きれいに完成されたウサギ令嬢の爪の説明を始めた。ウサギ令嬢はネイリストの説明を小耳にはさみながら緑色のラインストーンで縁取られた自分の爪を眺めた。
この後、下北沢でボーイフレンドとお茶をする予定だった。
ウサギ令嬢はミュゥミュゥのコートを羽織い、襟元に白いファーをまとって青山のネイルサロンを出た。
雨が降っている。ウサギ令嬢はあまり歩きたくなかった。
彼女はタクシーをとめて下北沢に向かった。